バッハ『インヴェンション』のセミナーに行ってきました
2月26日(金)、村上隆先生によるバッハ『インヴェンション』のセミナーに大宮のニコニコ堂まで行ってきました。日頃から、バッハの『インヴェンション』をどう教えたらよいのか悩んでいたので、今回のセミナーはとても興味がありました。会場では埼玉でピアノ教室をされている音大時代の先輩にも久しぶりにお会いできて、とても嬉しかったです。
セミナーの内容を以下にまとめてみました。つたない文章ですみません。詳しいことを知りたい方は、是非、村上隆先生の本『バッハ《インヴェンション》創造的指導法』をお読みください。
セミナーの内容
バッハの「インヴェンション」は、どの版を選ぶのがよいのか?
(1)まず第1に、J.S.バッハの序文が載せてある版を使うこと!だそうです。序文には、J.S.バッハの教育目的が書かれており、教育者も学習者も必見!なんだそうです。解釈版には、序文が省かれているものが多いとのこと。
(2)それから、バッハの最新の研究に基づいた版を使うこと!だそうです。1900年に新バッハ協会が設立されて、1950年にバッハ研究所、バッハ資料館との共同作業で新バッハ全集(ベーレンライター社)が刊行されているが、それに基づいた版がいいとのことです。ヘンレ版は、旧全集をもとにしているんだそう。
(3)楽譜選択ではかなりの困難がつきまとうが、最新の原典版、即ちベーレンライター原典版(NBA)とウィーン原典版を中心にまず考える、というのが現在に於ける最良の方法だそう。
バッハが「インヴェンション」に託した思い
インヴェンションは、長男フリーデマンへのへの父親・教育パパとしての期待とバッハ家の伝統的指導法を施す必要性から生み出された。
バッハは「インヴェンション」で何を教えたかったのか?
(1)作曲の仕方を学ばせたかった
(2)クラヴィーア奏法を学ばせたかった
(3)装飾法について学ばせたかった
バッハの教育は、柔軟で創造的だった
(1)曲の配列について
当時9歳だった息子フリーデマンには、1曲目に1番C-durハ長調、2曲目に4番d-moll(二短調)、3曲目に7番e-moll(ホ短調)・・・と、易しい順に学ばせた。
他にもいくつか配列があるんだそう。
(2)装飾法について
まずは、トリルやモルデントから教えるというのは同じだけれど、生徒の年齢などによって柔軟に対応していたんだそう。
楽譜に意図的に装飾記号を書かないで、息子フリーデマンに考えさせるようにした部分がある。カデンツの部分のトリルなど。
また、息子フリーデマンに自由に装飾をさせて、あとで省くというようなこともあったそう。
(3)作曲(細部の音の変更)
インヴェンション1番では、テーマの3度の音程を埋める音を入れて、3連符で書かれてある楽譜がある。
その他バッハにまつわる話
バッハはピアノを弾いていた?
バッハは、フォルテピアノ製作者ジルバーマンと友人関係にあり、フォルテピアノは弾いていたと思われる。
バッハはピアノを知らない、というのは間違いなんだそう。
バッハ の曲はレガートで弾かない?
当時は、あまりレガートでは弾かなかったそう。
ノン・レガートで弾くのが多かったそう。
バッハの曲は強弱をつけない?
バッハの音楽に強弱をつけない、というのは間違いらしいです。
セミナーを受講して思ったこと
バッハを研究されている村上隆先生のお話を直接聴くことができたことは、本当に貴重な体験となりました。
村上隆先生の本は持っていましたが、これを機に、深く読み進めたいと思いました。
また、セミナーの中で村上隆先生の模範的な演奏を聴かせて頂けたことも、本当に勉強になりました。